情報提供:アドバンテージ・パートナーシップ外国法事務弁護士事務所
国際仲裁弁護人・国際調停人 堀江純一(国際商業会議所本部仲裁・調停委員)
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)専門家
中国はどうして世界の覇権を狙っているのか?
概要
最近まで、豪州政府は核全面禁止を掲げていました。従って、豪州には原子力発電所が1基も存在しません。しかし、2022年、米国から原子力潜水艦を購入することを発表しました。オーストラリアの法律に関する個人的な考察の第126回では、オーストラリアの原子力潜水艦購入の裏事情を考えてみます。
過去と現在
過去には世界の覇権を握っていた中国ですが、19世紀には英国をはじめとする欧州列強に分割・統治されたり、挙げ句の果てには同じアジア国家の日本にまで割譲されたり、どん底を這っていました。
世界の覇権を握るためには、経済的にも軍事的にも強国になる必要があります。そのためには国内の産業を強化する必要があります。産業を強化するためには、資金と資源が必要です。
中国はどうして、以前には敵国であったロシアと友好外交をしているのか? 中国では、現在のところ、需要に対して資源やエネルギーが足りません。しかし、現金はあります。その反面、ロシアには現金がありません。ただし、資源・エネルギーがあります。
ウクライナ戦争で売り先をなくしたロシアは、中国にとって絶好のチャンスを与えました。中国はロシアから安価に資源・エネルギーを購入できるようになりました。資金の確保に贅沢を言えないロシアにとって、中国は救世主であり、中国はロシアの覇権を取ったと言っても過言ではないのではないでしょうか?
ロシアに対して優位に立ったことにより、中国は過去に割譲されるなどした、ロシアに対する屈辱を払拭することができました。
日本国憲法
ドイツと同様に、日本が二度と戦争ができないように日本国憲法は起草されました。しかし、1950年代には朝鮮戦争が勃発し、米国は日本に憲法改正と共に再軍備を要望してきました。しかし、当時の吉田茂(英国大使等を務めた元エリート官僚)内閣は、米国が草案した「平和憲法」を逆手に取り、再軍備を遅らせたり、軍隊派遣を拒んだりました。
中国の世界覇権が台湾をはじめ日本の近国・地域に迫る中で、米国だけに日本の防衛を任せておくのは難しくなってきたのではないでしょうか? かと言って、本当に平和憲法を改正する必要があるのか? 議論の立つ点と思われます。そもそも、米国が牛耳る資本主義の防衛路線を、日本は守る必要があるのでしょうか?
豪州の連邦憲法
豪州憲法下では、連邦政府が軍隊を持つことが許可されています。ただし、米国と異なり、豪州に州兵は存在しません。豪州の旧植民地は、英国から独立せずに連邦化したためです。
ごく最近まで、豪州政府は核全面禁止を掲げていました。従い、豪州には原子力発電所が1基も存在しません。しかし、2022年、米国から原子力潜水艦を購入することを発表しました。当然、中国の覇権を意識してですが、急な政府の政策転向には驚いています。
まとめ
共産主義か、資本主義か? どちらを選ぶかは、イデオロギーの問題です。しかし、残念ながら、歴史が証明するところによると、政府は必ずどこかで腐敗します。民主主義は修正する能力を備えていますが、共産主義はどうでしょうか? 共産主義は歴史的に独裁制に走りやすい傾向にあります。